方言の章

方言とは 庶民の間から自然に生まれ 庶民によって育まれてきた言葉づかいで私たちのも っとも身近な文化の一つではないかと思います。
いつのころからか この逢妻の地でも独特な言葉の言い回しが根を下ろし 次代から次 代へと話されるようになり ”おいでん みりん おどろまい“ と伝えられてきました。
今でも使われているこの地方の方言を集めてみました。

方言を使ってみましょう。

「はて」と首をかしげ何度も読み返したり、口にしてみて思わず笑い出したり、 言葉使いを楽しんでください。
そうすれば、あなたはまぎれもない逢妻っ子ですよ。

【遊びにおいでん】

源太 やっとかめだねん。
きんにょうは バケツ の水を ぶっっちゃける くらい じゃじゃぶり だったね。
平次 ほだてねん じべたが じゅるくて おうじょう こくわ。
源太 今日は ええあんばいで ひずるいくらいだねん。
いっぺん わしがれへも 遊びにおいでん。
平次 おんしがれは どえらい 大きな家だで けなるいわ。
源太 ほんなこと いわっせると ちみきるよ。
平次 戸があきゃーひんと 言っとった けんど直しに行こうかね?
源太 いくらあきゃーひん戸でも もだことして壊しちゃー だちかんぞん。
平次 これは やぐいで まあ あかんわ。
源太 ほうかん もーはい駄目か ほんならまあ ふっちゃっとくれん。

【はよ せりん】

夫 おい おまん 朝っぱらから 何しとる?
妻 机をえざらかして やーっと 掃除をしとったもんで えらいわ。
夫 机を そんなぐろへ置いて あいじゃあかんよ 元へもどしん。
妻 なんぎして やったのに とろくさいことしたなあ
夫 はよ せえりんよ わしは田圃の水廻りに行くで ご飯よそって おくれん。
妻 ちいと 待っとって おつけ ぬくとめるで 食べたら茶碗を ひやかしといてね。
夫 食べ物を だだくさにしたり ほーかったりしては おとましいぞん。
それに おおちゃくいことばっかし かんこうしとると 罰があたるよ。
妻 おそがい夢をみて ぞぞけがたったんけど 罰だらあかね?

【おんしは にすいねえ】

叔父 おんしがとう 兄弟は いつもせいがいいなあ。
そんなに おちょけて あそんどって 宿題はやったんかん?
太郎 まんだ ようさにやるでええわ。
次郎 兄ちゃんはそう言って いっつも やーひんだよ。
太郎 おんしこそ こないだのマラソン どべだったし 焚き火のきわで くるっとって やけずりしそうになったじゃん。
ほんとに にすい弟だで そう思わんかん 叔父さん?
叔父 おしがとうもだいぶ しゃらくさなったなあ。

【もやいこの服】

きん ちょごんで なにしとるん? わしの部屋 さばくらんで おくれん。
ぎん おまんの部屋は らんごくで わやだなあ。
ぎん ちいと ほーからんと どこに何があるか わかやひん しみったれだなあ あんねん おまんと もやいこで 使える服 ないかん?
きん とろいこと言っとらっせる。
ほんとにおまんは こっすいね。


【ひとなるのはうれしい】

つる かめさがれの 孫大きなったねん。
かめ ほうだらあ きんにょうも わしの真似して きりばんと ほうちょん出して 芋切っとらっせるし おつけ ぬくと めて ご飯よそっておくれるし しゃらくさいがねん。
つるさがれの 孫はどうだん?
つる 聞いとくれん ばんげしまも きわの子と おちょけとっ たら野良犬にぼわれて えめぞに はまって 服がわやだ がん。
たーけらしいやら 笑えるやら せいがよすぎて だちかんわ。
かめ ほんでも 孫がひとなるの 見るとうれしいてねん。

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